卓ログ


「女と女と井戸の中」

原題は「The Well」 まあ邦題が「井戸」ではタイトルとして渋すぎますよね。オーストラリアの映画。監督は新人さんだそうです。インタビューを見ると若い女性です。映画学校を出てすぐ作った映画だそうで。インタビューでオーストラリアの映画は半分が新人監督だって、主演のミランダ・オットーが言ってましたが、すごいですね。

邦題にも「女」が2回出てきますが、原作も女性、脚本も女性、監督も女性、撮影も女性、主演、助演も女性。男女平等の世の中ですが、感性には決定的な差があると思っていて、この映画はそういう女性のスタッフでしか作りえない映画です。それほど女性的感性全開の映画。

脚本がしっかりしていて面白いんですが、男が見るとピンとこないような気がしなくはないです。


ネタばれ

序盤は歳の離れた2人の女の親子のような友達のような同性愛のような関係が描かれています。田舎の中年女性のヘスターにとって都会から来た若いキャサリンは自分が生きられなかった片われなのですね。だからヘスターは昔の華やかな唯一の思い出であるヨーロッパ旅行をキャサリンとすることで失われた人生の半分を取り戻そうとします。結局、ヨーロッパ旅行のために家も土地も売ったのはキャサリンの謀略であって、キャサリンはこの時点で金を奪ってとんずらしようとしていますが。しかしそれでも、2人の間には愛情か友情みたいなものが芽生えていきます。

中盤になって「男」が現れます。キャサリンが車で轢いてヘスターが井戸に隠す顔も出てこない男です。この辺りから急にスリラーっぽくなっていきますが、もっと早くこの展開があってしかるべきだろうと思いました。男は2人の関係を破壊するものでありヘスターにとっては井戸のなかに永遠に抑圧しておきたい存在なんだろうと思います(実際、ヘスターは異性を抑圧して生きてきた) しかし、キャサリンにとっては田舎生活で忘れていた、金より大事な愛する庇護するべき、井戸から引き上げるべき存在なのです。その決定的な確執から結局絶望したキャサリンは、当初の計画通り金を奪って出て行きます。

最後、なにもかも失って取り残されたヘスターは哀れだけど、バスの子供たちに辛うじて救われる。これがないと悲惨すぎですね。なんとなくこっちまで救われたシーンです。

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山田卓司

■山田卓司=イラストレーター・漫画家

「吸血鬼にちがいない」とか「ベルセゾン」とかかいてました。最近は挿絵とかイラストとかFLASHでアニメーション制作とか。
模型作る人とは別人。間違えて来ちゃった人、紛らわしくてすみません。これも何かの縁ですのでひとつよしなに。

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